フリー見学型オープンファクトリー 現場での対応

一般的な工場見学といえる「フリー見学型」のオープンファクトリーについて、見学の流れに沿って、ポイントや注意事項をご紹介します。イベントの運営者だけでなく、各参加企業や工場の担当者とも共有しておきたい内容です。この内容を参考に、各参加企業がアレンジして用いて下さい。

参加者に事前に連絡すべき注意事項

来場したお客様に楽しく見学してもらうためにも、工場見学の際にお願いしたい一般的な注意事項は、チラシやイベントのホームページ、SNS等で前もって周知する必要があります。

受け入れ側の工場にとっては当たり前のことでも、初めてのお客様にはわからないことも多く、不安を感じることもあります。しっかりした説明をすることで、不安を解消し、事前の問合せ対応を少なくすることもできます。とくに子供は危険な機械にも手を出しやすいので、事前に親からも注意してもらいましょう。

 

・動きやすい服装、機械に巻き込まれる可能性のあるスカートやだぶついた服は避ける。

・運動靴やかかとの低い靴を履く。

・写真撮影は、その場で工場の担当者に確認をとってから。

・工場内に持ち込める荷物の制限。

・年齢制限(子どもの入場不可、保護者同伴必須など)から。

・工場内での危険な場所には立ち入らないこと。

 

【燕三条 工場の祭典:パンフレットに注意事項を記載】

工場見学①導入

挨拶・自己紹介

・工場や仕事場で来場者をお出迎えする場合は挨拶して歓迎の意を表します。

・説明者は自己紹介します。

アイスブレイク

 ・来場者がどこから来たか、どこで公開を知ったのかなど、簡単に会話が交わせる質問をすることで、話やすい雰囲気作りをします。

【スミファ:墨田革漉工業 工場見学時の会社紹介】

注意事項の確認

・工場内は滑りやすかったり、段差があったり、高温で動いている機械があったり、大きな機械に巻き込まれる可能性があったりと危険が多いものです。服装や、工場内に持ち込める荷物の制限などについて見学前にお知らせします。

・見学中の安全確保のために、近づいてはいけない場所、危険な箇所等について注意します。安全のためといって過度に離れた場所での見学では臨場感が薄くなるので、安全措置をとった上でできるだけ間近でみていただけるようにしましょう。

・トイレの場所、休憩できる場所や時間についてお知らせします。とくに女性や高齢者等で言い出しにくいことがあるので見学中も声をかけて下さい。

・事業報告や次年度の広報ツールに使うために見学風景を写真撮影する場合は、参加者に許可を求めます。撮影NGの人がいる場合がありますので注意して下さい。テレビや雑誌等の取材が入る場合も参加者に確認を求めて下さい。

・見学場所内での撮影の可否と、それらの写真をブログやフェイスブック等に掲載してよいかを知らせて下さい。できるだけ写真掲載を希望する場合はその旨お知らせしてください。

・受注生産品、特殊な加工機器、社員の顔などについて掲載不可にする場合もあります。

現場見学のための予備知識レクチャー

・現場見学をより充実させ意義を理解してもらうために、事前に予備知識を提供することは効果的です。資料や会社案内、製品カタログなどを必要に応じて用意し、お客様に提供します。

 

◇地域の歴史や産業について(既に他の企業で聞いているなら省略)

・どうしてこの地域でモノづくりが盛んになったのか 

・どんな業種が多いのか、それらの業種は生活とどのように関連しているのか

 

 ◇会社の成り立ちや業務内容

・いつ頃創立したのか、創立理由は

・もともと何をしていた会社か

 

◇見学場所としての建物の紹介

・立地上のメリット、ご近所との関係

・由来がある建物の場合その説明

・部屋ごとにどんな作業をしているのか

 

◇作っている製品の紹介

・実際の製品サンプルの紹介

・どのような店や企業で取り扱われているか

【スミファ:紙加工ツアー 東北紙業社 会社説明】

 【燕三条 工場の祭典:玉川堂 予備知識レクチャー】

工場見学②見学の実施

工程毎の説明

・どのような作業で何を作っているのか

・業界特有の言葉や作業について説明する

・工程が製品のどのように反映されるのか。いい製品と悪い製品の違いはどのような作業の違いで生まれるのか。

【スミファ:浜野製作所 製造工程の説明】

工程全体の流れを紹介

・簡単に工程全体の流れを紹介 

・手づくりと量産などを対比しながら自社のモノづくりのポイントを説明。

 【スミファ:東日本金属 鋳造工程の説明】

実演

・音、動き、振動、匂いなどリアルな現場を体験できるようにしてください。

・職人の自己紹介

・道具の説明

・工程の内容を説明しながら作業する

・いい製品を作るために気をつけるポイント

・簡単に作業していることが、実は難しく経験が必要なことを説明。熟練者に比べて、初心者はどのように下手なのか説明するといいでしょう。

・職人との会話・質問の時間をとってください。質問が出ない場合、数名を指名して感想もしくは質問をもらってもいいでしょう。

【ヤマナシハタオリ産地バスツアー:槙田商店 傘組み立て】    

 【おおたオープンファクトリー:共栄溶接 溶接の実演】

工場見学③見学後のフォロー

メッセージを再度伝える

・これまでの説明と重複する内容になりますが、最後に自社製品の魅力などをまとめて伝えることで印象に残りやすくなります。

・チラシなどを配布して今後の取引や商品購入などにつながるようにしてください。

・自社商品をどのような人に使って欲しいのか、自社商品を使うとどのようなメリットがあるのか、など使用体験に結びついた商品の魅力を伝えます。

・困っていることや、目標達成のための課題などをシェアすることで、モノづくり関係者が置かれている現状について考えてもらいます。

 現状が厳しいというだけではなく、どうやって克服しようとしているかなども伝えます。

 例:道具を作る職人が少なくなっている(玉川堂)

・夢やビジョンを伝えることで共感し、賛同してくれる仲間を増やしていきます。参加企業それぞれの想いを伝えて、それが相乗効果を産み、産地全体の意欲が来場者に伝わっていきます。

例:銅を使う文化を広め、お茶の時間を豊かにしたい(玉川堂)

質疑応答

買物

・現場を見て、説明を聞くことで、商品に対する魅力を感じると、その商品を実際に購入したくなります。

・商品は見学の記念になります。商品を購入できる場所と時間を用意しておくことをお勧めします。

 

おみやげ、サプライズ

製造現場を観てもらうだけではなく、自社のファンになってもらうことを意識しましょう。来場者を大切にする姿勢が、そのまま企業姿勢として伝わります。

工場での喜びや感動が、ブログやツイッター等で拡散し、また新たな出会いが期待できます。

 

お見送り

・社員総出でお見送りしましょう。

【高岡クラフツーリズモ:大寺幸八郎商店 ショップ】